11454f7f85725a6f4a5a8ca8751824f3_s


こちらはFT新聞、丹野佑さん発案の自動進行方式、T-botシステムを参考に作ったものです。
ファンタジーの王道ダンジョンもので、見様見真似でなんとか形にしてみました。
勝手に流れていく主人公たちを≪はじめてのおつかい≫感覚で、その行く末をハラハラしながら温かく見守って頂けると嬉しいです。
ちなみに最初の三択で一応初期金貨が増やせるようにはなっていますが、それだと簡単すぎてあっという間に終わってしまいますので出来ればやらない方がいいと思いますよ。それではどうぞ。

 

 

 

≪序文≫
 
この本の主人公は、ムシカという名の女の子です。
とある目的があって魔物が巣食うダンジョンの地下最深部に行きたいという強い願いがあるのですが、あいにく彼女は力や魔法、特殊能力の類は一切持たない至って普通の人間。ゴブリン一匹にすらまともに太刀打ちできません。
そして重ねて申し訳ありませんが、この本では読者であるあなたが主人公の選択に介入できる機会は、後半には全くございません。
なぜならば最近、冒険者たちが妙に安々とトラップを突破していくことに疑念を覚えたダンジョンの主が、その原因をあなたのような異世界の賢者がこれから起こる展開を全て知り尽くしたかのような的確な助言を裏で冒険者たちに与えていたためだったとつきとめ 、すぐさまダンジョン全体に強力な念波遮断の結界魔法を張り巡らせてしまったからなのです。
この本ではいつもと違い、一旦主人公がダンジョンに入ってしまえば最後、例え伝説の最上位介入魔法シム=ラゥシ=ロゥシロを使ったとしてもあなたの助言は決して主人公まで届きはしないでしょう。それほどまでに、このダンジョンの主の力は凄まじく強大なのです。
この本の登場人物たちは、銘々が自分の意志で状況を判断し、勝手な行動をとります。
何も知らない主人公やそれに同行する冒険者たちは、条件が同じならば何度やっても必ず同じ行動をとり、儚く命を落としていくだけでしょう。
ともすれば、死にもしない出口も見つからないといった無限回廊を永遠に彷徨う羽目になるやもしれません。
それでも、あなたがそんな哀れな主人公を救ってやろうとこの本をお読みくださるのであれば、ぜひとも物語の前半、助言の念がかろうじて伝わる地上に居るうちに、できる限りの面倒を見てやってくださいませ。
私からお願いできるのは、ここまででございます……

 

 

 

 

 

反魂の大魔導士
 
作:緒方直人

 

 

 

 

 

 

 
淡い月明かりだけが頼りの、誰もいない暗く寂しい真夜中の森の街道。
そこをひとりの女の子が歩いていました。
彼女の名は、ムシカ。
ムシカは、あるとても強く大きな決意を胸に遠くからここまで旅をしてきました。
懐の財布には村のみんなから助けてもらい集めた、貴重な金貨【30枚】が入っていました。
 
そしてついに、この街道を越えればようやく目的の町というところまで来たのです。
野盗に襲われるかもしれない。夜徘徊する醜悪な魔物に襲われるかもしれない。
それでもムシカは、一刻の時も惜しいといった思いで夜通しの旅を続けてきたのでした。
 
幸いにもこの夜、ムシカは野盗にも魔物にも遭わずに、目的の町の明かりが見えるまで来られました。
ですがそのもう少しというところで、ムシカはこんな真夜中にも関わらず、道沿いの草むらで何かを探しているおばあさんと出会ったのです。
 
「こんばんは。おばあさん。こんな真夜中にいったいどうしたの?」
 
「おや、おやおや、お嬢ちゃんこそ夜更けにひとりで…… 危ないよ。すぐにお帰り」
 
「困った人を放ってはおけないわ。おばあさん、ここで何か探し物なの?」
 
「え、ええ……ちょっとね。帰りが遅くなってしまった上にここでちょいとつまづいてころんじゃってねぇ。大事な財布を、この辺に落してしまったのさ。もうずいぶん探してるんだけど、どうしても見つからなくってねぇ。
 金貨20枚…… 病気の孫のために、大事な道具まで売り払ったお金が入ってたのに……
 あと10枚で…… ようやくあの貴重な秘薬が買える額まで近付けたってのに……あぁ……」
 
「そうなの大変! それじゃ私も一緒に探してあげるわ!」
 
「まぁまぁ、いいのかいお嬢ちゃん。本当にすまないねぇ……」
 
ムシカはおばあさんと一緒に草むらを掻き分け、一生懸命財布を探しました。
ずいぶん時間がかかりましたが、あっ!と驚いたムシカ。
ようやくとある岩陰に、それらしき財布が落ちているのを見つけたのです。
 
→すぐにおばあさんを呼んで財布を渡してあげるなら 2へ
→財布をこっそり懐にしまい込んでそのまま逃げ出すなら 3へ
→自分の手持ちの金貨10枚を足して30枚にして渡すなら 4へ

 

 

 

 

 

 

 
「おばあさん! あったよあった!ホラここにあったよ!」
 
ムシカは大喜びですぐにおばあさんを呼びました。
 
「まぁまぁこんなところに…… ありがとうね。本当にありがとうね」
 
おばあさんは大層喜んでくれました。ムシカも満足顔です。
 
こうしてムシカはおばあさんと目的の町まで一緒に行きました。
町の入り口でおばあさんと別れると、ムシカはこの町自慢の冒険者たちが集うというギルドを探して回ったのでした。
 
→ 5へ

 

 

 

 

 

 

 
「どうしたんだい? あったのかい?」
 
おばあさんがすかさず駆け寄ってきました。
ですがムシカはさっと素早く財布を懐に隠すと、素知らぬ顔をしました。
 
「……ううん、ごめんなさい。なんでもないの。見間違えちゃったみたい」
 
「そうかい、残念だねぇ。あぁもうやっぱり見つからないのかねぇ」
 
なおも探そうとするおばあさんを横目にムシカは言いました。
 
「ごめんなさい。私やっぱりもう行かなきゃ。本当に……、本当に、ごめんなさいっ!」
 
ムシカはおばあさんを振り返ることなく、一目散に町へと走っていきました。
 
ハァ、ハァ、ハァ、……!
ここまで来ればもう大丈夫。
ムシカはもう一度、懐に隠した財布の中身を確かめました。
確かにおばあさんが話していた通り、中には金貨が20枚も入っています。
これで自分の財布の中身と合わせると、全部で金貨は【50枚】にもなりました。
 
「おばあさんごめんなさい…… でも私、どうしてもお金が沢山必要なの…… いつか……いつか必ずお返しします!」
 
俯いたまま再び走り出したムシカ。
ムシカはその足でこの町自慢の冒険者たちが集うというギルドを探して回ったのでした。
 
→ 5へ

 

 

 

 

 

 

 
「どうしたんだいお嬢ちゃん。もしかして見つかったのかい?」
 
ムシカはおばあさんが来る前に、拾った財布に自分の金貨10枚をそっと押し込むと、くるりと振り返って笑顔で答えました。
 
「あったよおばあさん! ホラ、これでしょ!」
 
「まぁまぁ、そうだよこれだよ! よく見つけてくれたねぇ。ありがとう。本当にありがとうねお嬢ちゃん。 ……おや、でもこの財布、こんなに重たかったっけね? ねぇお嬢ちゃん…… アレお嬢ちゃんっ?」
 
ムシカはおばあさんが呼び止めるのも聞かず、そのまま街道を町の方へと走り出しました。
走って走って、町の入り口まで辿り着くと、ムシカはひとり自分の財布の中身を改めて見つめつぶやきました。
 
「ハァハァ、金貨、【20枚】に、なっちゃった…… お金、足りるかな…… でも、いいよね……  大丈夫だよねミーシャ…… うん!」
 
ムシカはぐっと目頭を袖で拭くと、元気に顔を上げて、この町自慢の冒険者たちが集うというギルドを探して回ったのでした。
 
→ 5へ

 

 

 

 

 

 

 
ムシカは、ようやく見つけた真夜中にも関わらず賑わい衰えないギルドへと恐る恐る入っていきました。
これまで嗅いだことのない、むせるほどに強烈な酒と煙草の臭い。
柄の悪い酔っ払いたちが繰り広げる騒々しい喧噪が、右から左からと波のようにムシカを揺さぶります。
 
「おっ!お嬢ちゃん! オシイな~もう少し大きくなったらおいで!」
「そうそう、オジサンが高く買ってあげるからさ~♪ カカッカカカカッ♪」
 
数人の酔っ払いが、口汚くムシカをからかいます。
逃げ帰りたくなる衝動を必死に抑えながら、比較的優しそうな給仕のお姉さんにムシカはやっとのことで話しかけました。
 
「マスター? あそこのカウンターの奥に座ってるおじいちゃんがそうよ」
 
見れば確かにそこには、何かを磨くしぐさをしている小柄な老人がちょこんと座っていました。
ムシカは意を決すると、まっすぐその老人の元へと歩み寄ります。
 
「……いらっしゃい、可愛いレディ。その様子じゃ、ただ食事に来たわけじゃなさそうだね。給仕の仕事が欲しいのかい。それとも……」
 
それまでほとんど閉じていた老人の瞼が、意味ありげにくいっと広がりました。
やっぱりここがそうなんだ。自分の意志は間違いなく通じてる。大丈夫。おじさんに教えて貰ったとおりにやればきっと……
 
バンッ!!
ムシカは両手を強くカウンターに叩きつけると、その勢いで声の限りに叫んだのです。
 
「反魂の大魔導士に会いたいの!
 
 私の妹を…… 生き返らせて欲しいの!!」
 
一瞬でシーンと静まり返った店内の空気。
いつの間にかその場にいた全員が、ムシカのことをじっと見つめていました。
やがて口火を切るようにおもむろに老人が笑いかけます。
 
「……ほっ、ほっ、こりゃまた何年ぶりかねぇ、そんな夢みたいな依頼を聞いたのは。いいよ、レディ。その代わり高くつくが……お金は、持ってるのかね」
 
話は通ったようです。ごくりと唾を飲み込んでからムシカはゆっくりと答えます。
 
「えぇ……大丈夫よ。心配しないで」
 
その返事を聞くや否や、老人はすっくと立ち上がりました。
そしてその体のどこからというような張りのある大声で、店中の客に向かって怒鳴り上げたのです。
 
「聞いたか野郎どもォ!! 久々の大仕事だ!! さぁ報酬はひとり金貨10枚! 我ぞと思う奴ァ、元気よく手を挙げやがれ!!」
 
オォーッ!! オォーッ!!
その声に店内が沸き立ちます。
そしてすぐにひとり、またひとりと、次々と挙手する者が現れ出しました。
老人は再びさっきの優しい声に戻ってムシカに言いました。
 
「……さぁ、勇敢なレディ。今手を挙げた者たちを覚えたかね。あとは君と、その財布の中身次第だ。行って話を聞いてみるといい。どれ、ワシも付いてってやろう」
 
反魂の大魔導士。
死んだ者すらあの世から呼び戻せる蘇生の秘術を会得したという、強大な魔力の持ち主。
この町の向こうの岩山のそのまた奥にあるというダンジョンに、もう何百年もの昔から住み着いているという噂の存在。
人によってはアンデッドだ、ドラゴンだ、ヴァンパイアだと、その正体すらはっきりしない幻の人物。
ですがそんな雲を掴むような話だったとしても、それでもムシカはすがらずにはいられなかったのです。
 
ムシカのたったひとりきりの家族、妹のミーシャが流行り病で先日この世を去りました。
葬儀もそこそこにムシカは必死の思いで金策に奔走しました。
家具も売り、服も売り、住んでいた家までもを地主さんに無理やり頼み込んで買い取って貰いました。
気の毒に思った村の人たちも皆んなできる限りの寄付をしてくれました。
そんな末に、やっとこれだけの金貨をかき集めてここまでやって来たのです。
危険なダンジョンに一緒に潜ってくれる、心強い用心棒が欲しい。
私をその反魂の大魔導士がいるという、ダンジョンの最深部にまで連れて行って欲しい。
妹を、あの可愛かった大切な私のミーシャを……絶対に生き返らせて貰いたい!
 
ムシカは老人と一緒に酒場のテーブルを回ります。
 
→筋骨逞しい髭面のドワーフの男のところへ行くなら 6へ
→痩せてて出っ歯の若いホビットの男のところへ行くなら 7へ
→禿げ上がった頭が眩しい小太りのノームの男のところへ行くなら 8へ
→深緑のローブをまとった長髪のエルフの女のところへ行くなら 9へ
→眼鏡をかけて飄々とした人間の男のところへ行くなら 10へ

 

 

 

 

 

 

 
ムシカは筋骨逞しい髭面のドワーフの男の前に立ちました。
老人がムシカに説明してくれます。
 
「こいつはドワーフのボルグ。見ての通りの力自慢の戦士だよ。まぁダンジョンに潜るというなら、魔物相手に戦ってくれる戦士なんかはまず必須だろうね」
 
金貨【10枚】を支払えば、戦士ボルグを雇うことができます。
金貨が残っている限り、ムシカは次の冒険者が座るテーブルへと向かいます。
雇う冒険者は多ければ多いほど成功の確率は上がるに決まっています。
ここまで来て金貨を惜しんで財布に残すようなことは、ムシカはしません。
 
→痩せてて出っ歯の若いホビットの男のところへ行くなら 7へ
→禿げ上がった頭が眩しい小太りのノームの男のところへ行くなら 8へ
→深緑のローブをまとった長髪のエルフの女のところへ行くなら 9へ
→眼鏡をかけて飄々とした人間の男のところへ行くなら 10へ
→金貨が無くなったので契約を終えるなら 11へ

 

 

 

 

 

 

 
ムシカは痩せてて出っ歯の若いホビットの男の前に立ちました。
老人がムシカに説明してくれます。
 
「こいつはホビットのグラント。まだ若いが腕は確かな盗賊だよ。ダンジョンは悪質なトラップや隠された通路がいっぱいだからね。こいつみたいな鼻の利く奴がいればきっと役に立つと思うよ」
 
金貨【10枚】を支払えば、盗賊グラントを雇うことができます。
金貨が残っている限り、ムシカは次の冒険者が座るテーブルへと向かいます。
雇う冒険者は多ければ多いほど成功の確率は上がるに決まっています。
ここまで来て金貨を惜しんで財布に残すようなことは、ムシカはしません。
 
→筋骨逞しい髭面のドワーフの男のところへ行くなら 6へ
→禿げ上がった頭が眩しい小太りのノームの男のところへ行くなら 8へ
→深緑のローブをまとった長髪のエルフの女のところへ行くなら 9へ
→眼鏡をかけて飄々とした人間の男のところへ行くなら 10へ
→金貨が無くなったので契約を終えるなら 11へ

 

 

 

 

 

 

 
ムシカは禿げ上がった頭が眩しい小太りのノームの男の前に立ちました。
老人がムシカに説明してくれます。
 
「こいつはノームのマノン。僧侶のくせにこんな酒場で毎晩酔っぱらってる生臭坊主さ。でも冒険者としての実力はこのワシが保障するよ。治癒魔法で仲間の怪我を治したり、アンデッドが出ても追い払ってくれるはずだよ」
 
金貨【10枚】を支払えば、僧侶マノンを雇うことができます。
金貨が残っている限り、ムシカは次の冒険者が座るテーブルへと向かいます。
雇う冒険者は多ければ多いほど成功の確率は上がるに決まっています。
ここまで来て金貨を惜しんで財布に残すようなことは、ムシカはしません。
 
→筋骨逞しい髭面のドワーフの男のところへ行くなら 6へ
→痩せてて出っ歯の若いホビットの男のところへ行くなら 7へ
→深緑のローブをまとった長髪のエルフの女のところへ行くなら 9へ
→眼鏡をかけて飄々とした人間の男のところへ行くなら 10へ
→金貨が無くなったので契約を終えるなら 11へ

 

 

 

 

 

 

 
ムシカは深緑のローブをまとった長髪のエルフの女の前に立ちました。
老人がムシカに説明してくれます。
 
「こいつはエルフのアラミス。女に見えたかね?でもれっきとした男だよ。いわゆる魔法使いだね。炎や氷、一通りの便利な魔法を習得したかなりの腕利きさ。魔物相手に戦っても良し、トラップ回避にも良しときっと役に立つと思うよ」
 
金貨【10枚】を支払えば、魔法使いアラミスを雇うことができます。
金貨が残っている限り、ムシカは次の冒険者が座るテーブルへと向かいます。
雇う冒険者は多ければ多いほど成功の確率は上がるに決まっています。
ここまで来て金貨を惜しんで財布に残すようなことは、ムシカはしません。
 
→筋骨逞しい髭面のドワーフの男のところへ行くなら 6へ
→痩せてて出っ歯の若いホビットの男のところへ行くなら 7へ
→禿げ上がった頭が眩しい小太りのノームの男のところへ行くなら 8へ
→眼鏡をかけて飄々とした人間の男のところへ行くなら 10へ
→金貨が無くなったので契約を終えるなら 11へ

 

 

 

 

 

 

10

 
ムシカは眼鏡をかけて飄々とした人間の男の前に立ちました。
 
「……賢いレディ、悪いことは言わない。コイツだけはやめときな」
 
「なんですかマスター。いきなり聞き捨てなりませんね。この僕がせっかくご同行しようというのに、水を差さないで下さいよ」
 
老人はムシカの袖を引っ張って次のテーブルへ行こうとしました。
ですがムシカはせっかくだからと、もう少し彼から詳しく聞いてみることにしたのです。
 
「僕は古代研究家のジンと申します。あのダンジョンには古代の遺産が数多く眠っていると聞きます。ぜひ一度行ってみたいと思っていたのですよ」
 
「なにが研究家だこのスカタン。お前なんざただのスカンピンの遊び人だろうが。毎晩毎晩、ここでのバクチで勝ったり負けたりしかしてねぇクセによう」
 
あわや喧嘩が始まろうかというところで、ムシカが慌てて仲裁に入りました。
 
「いいんですおじいさん。すみません、それであなたは何が得意なんですか?」
 
「そうですねぇ。確かに僕は腕っぷしも強くはないし、魔法も何も使えません。ですが古代語だったら読めますよ。もしかしたらトラップ回避とか、正しい道を選べたりとかで何かとお役に立てるかもしれませんね」
 
「フン、お前よくそれっぽっちの力であのダンジョン探索に手を挙げたもんだな。その肝の据わった度胸だけは認めてやるわい」
 
「いやぁそれほどでも♪ 今月、負けが込んじゃってどうにも苦しいもんで、アハハッ」
 
金貨【10枚】を支払えば、遊び人のスカタン、もとい研究家ジンを雇うことができます。
金貨が残っている限り、ムシカは次の冒険者が座るテーブルへと向かいます。
雇う冒険者は多ければ多いほど成功の確率は上がるに決まっています。
ここまで来て、金貨を惜しんで財布に残すようなことはムシカはしません。
 
→筋骨逞しい髭面のドワーフの男のところへ行くなら 6へ
→痩せてて出っ歯の若いホビットの男のところへ行くなら 7へ
→禿げ上がった頭が眩しい小太りのノームの男のところへ行くなら 8へ
→深緑のローブをまとった長髪のエルフの女のところへ行くなら 9へ
→金貨が無くなったので契約を終えるなら 11へ

 

 

 

 

 

 

11

 
冒険者たちとの契約はこれで滞りなく終わりました。
すぐにダンジョンに向かいたいと焦るムシカでしたが、老人は首を振り明日にせよと勧めます 。
結局冒険者たちとは明日の朝早くにここを出発するという約束を取り交わし、ムシカはその夜、老人の厚意でギルドの2階に泊めて貰らいました。
長旅の疲れも忘れて、不安と期待の入り混じる中でムシカは夜が明けるのを今か今かと待ち続けます。
ミーシャ…… 待ってて…… お姉ちゃんが絶対あなたを連れ戻してみせるから……
 
翌朝、集まった冒険者たちと共にムシカはダンジョンを目指して再び旅立ちました。
途中で、冒険者のひとりがムシカに話しかけます。
 
「あそこのダンジョンはこの辺りでも確かにいわく付きさ。入るとなんだか頭に霞がかかったようになって、俺たち冒険者が最も頼りにすべき『危機を事前に知らせる直感』みたいな、いわゆる虫の知らせがさっぱり聞こえてこなくなっちまうんだ。結局自分のできる得意なことを手当たり次第にやってみるしかなくなる。それで余計な真似してトラップに引っかかって痛い目見る奴がザラって話よ。確かにその噂の大魔導士みたいなのがいても不思議じゃない場所だが、きっとその最深部への道とやらも魔力か何かで巧妙に隠されたりしてるのかもしれないぜ。だから今回の冒険だって、いくら探し回ったところで結局何も見つけられずに徒労に終わるだけかもしれない。まぁ既に金を貰っておいた身でこんなことを言うのも何だが、本当にそんな雲を掴むような噂話に大金を賭けてもいいってのか?」
 
ムシカは躊躇なく、そして真っ直ぐ前を見据えたままで、こくんと力強く頷いて見せます。
ふぅん、と言ったきり、それ以上その冒険者は何も言いませんでした。 
そんなこんなでムシカとその冒険者パーティは、反魂の大魔導士がいるというダンジョンの入り口までやってきたのです。
 
「それでは……、皆さん、改めてどうぞよろしくお願いします!」
 
恐怖に震える自分を鼓舞する意味も込めて、ムシカは冒険者たちに言いました。
何もできないムシカは、冒険者たちに守られるようにパーティの真ん中にて松明係を務めます。
こうしてムシカたちはダンジョンへの階段を、一歩、また一歩と慎重に降りて行きました。
やがて最初の大きな広間へと辿り着いたのです。
 
→ 12へ

 

 

 

 

 

 

12

 
ここはダンジョン内の大きな広間です。
壁や天井、床などは全部むきだしの岩肌ですが、それでも自然に出来たとは思えないような広々とした空間になっていました。
下の階への階段は、その広間を越えた向こう側にあるのが見えています。
 
「気を付けろ! あそこに何かいるぞ!」
 
冒険者のひとりが叫びました。
見るとそこにはボウッと青白い光を放ちながら立ちすくむ、真っ白なスケルトンの姿があったのです。
 
「なんだ1匹だけか。それなら楽勝だな」
 
ですが、そのスケルトンがこちらへ向かって歩き出すとそいつが元いた場所の地面からはさっきよりはっきりした青白い光の柱が強く立ち昇り、そこからまた同じようなスケルトンが出てきたのです。
 
「転送魔法用の魔法陣だな! 見ろ!あそこも!あっちからも! ちくしょうウジャウジャ出てくるぞ!」
 
あっという間に広間はスケルトンの群れで溢れるほどになりました。
すごい勢いで次々と湧いて出るスケルトン。
短時間で一気に片付けなければこの場はとても突破できません。
どんな勇猛果敢な冒険者であっても、1人だけではとても対処しきれないでしょう。
 
※戦士、僧侶、魔法使いのうちいずれか2人以上がそろっていれば、スケルトンの群れを一掃してこの場を突破できます。
 条件を満たさないパーティは、この場は一時撤退するしかありません。
 
→戦士、僧侶、魔法使いのうち2人以上がいるなら 13へ
→条件を満たさないので元来た道を戻るしかないなら 19へ

 

 

 

 

 

 

13

 
なんとかスケルトンの群れを振り切って広間を抜けると、パーティは一気に階段を駆け降りていきました。
やがて辿り着いた階段の下は細く平坦な通路になっていました。
パーティが一息ついていると、ふいに誰かがつぶやきます。
 
「どこからか風が吹いてきてないか?」
 
ムシカも慌てて松明をかざして確かめてみましたが、ほんの一瞬のことだったらしく、松明は少しも揺らぎもしません。
また風のことを言いだした冒険者も、今ではもうすっかり分からなくなったと首を振るばかりです。
 
※盗賊がいれば、壁に隠された秘密の抜け道を発見します。
 条件を満たさないパーティは、これに気付かずに通路を先へと進みます。
 
→盗賊がいるなら 14へ
→条件を満たさないので通路を先へ進むしかないなら 16へ

 

 

 

 

 

 

14

 
見つかった抜け道の先は、すぐに奥が四角の箱のような狭い部屋になっていました。
ここだけ壁も天井も床も、固くてツルツル真っ平らな壁で覆われています。
各々が壁を叩いたりして何かないか調べているうち…… ガタンッ!
急に地震が部屋を襲いました。
見れば先ほど入って来た入り口が周りと同じような材質の壁でいつの間にか塞がれています。
 
「しまった! 閉じ込められたか?!」
 
全員が驚くやいなや、何だかぐぅぅっとお腹の下辺りを襲う、不快な感覚。
大魔導士の魔術かとも思われましたが、それ以上のことは何も起こりはしません。
やがて地震が収まってきたかと思いきや、チーン!といった聞き慣れない音の後に、さっき閉まった入り口が再びゆっくりと開きだしました。
恐る恐る冒険者たちは外へ出て、周囲を確認します。
すると驚いたことにそこはさっきの場所などではなく、見上げるほどに巨大で、かつ絢爛豪華な装飾が施された、見るも立派な大扉の前だったのです。
 
「すごいな見ろよ! こりゃ全部古代語でびっしりと何かが書かれてるんだ!」
 
駆け寄った冒険者が大扉を押してみましたが、びくともしません。
もちろんパーティ全員で押したり引いたりもしてみましたが、やっぱり扉は少しも動きはしませんでした。
 
「……どうする。こりゃどうにもならなさそうだぜ」
 
見れば後ろの抜け道はもう既にぴったりと閉まっています。
もう何をどうやっても開きません。
仕方なく他に道はないかと見回してみると、大扉の右手の方には細い通路が伸びており、そちらへなら先に進めそうです。
 
※研究家がいれば、大扉の古代語を解読してここを突破できます。
 条件を満たさないパーティはこの大扉は諦めて細い通路を進みます。
 
→研究家がいるなら 26へ
→条件を満たさないので諦めて細い通路を進むしかないなら 17へ

 

 

 

 

 

 

15

 
階段を降りた先は、真っ直ぐ平坦な通路になっていました。
進んで行くとやがて、2つの下り階段がある場所まで来ました。
片方は幅の広々とした普通の階段、もう片方は幅が狭く暗くてジメジメした気味の悪い階段です。
冒険者たちは当然といったように幅の広い階段を選んで降りていきました。
ムシカは冒険者たちの勘に従い、ただ黙って彼らの後を着いて行くだけです。
ですがその階下の暗闇に、ギロリと光った大きなひとつの目玉。
 
「サ、サイクロプスだぁ!」
 
天井に届かんばかりの巨大な体躯。
ほとんど肩と一体化した不格好な頭部にあるのは、大きな口とこれまた大きな一つ目。
獲物を見るや、サイクロプスは猛然と襲いかかって来ました。
 
「さ、さっきの狭い階段の方へ逃げればアノ巨体じゃ追って来れないんじゃないですか?!」
 
思いついたムシカが叫びましたが、血気盛んな冒険者は皆、意に介さずといった様子で立ち向かっていくばかりです。
 
※戦士または魔法使いのどちらか1人がいれば、パーティはサイクロプスを倒しこのまま広い階段を進むことができます。
 条件を満たさないパーティは、勝てずに退却して先ほどの狭い階段へと逃げ込むことになります。
 
→戦士または魔法使いがいるなら 18へ
→条件を満たさないので狭い階段の方へと逃げ込むしかないなら 23へ

 

 

 

 

 

 

16

 
通路を進む途中、後ろでズドン!という大きな音がして石壁が来た道を塞いでしまいました。
仕方なくパーティは通路を先へと進みます。
やがて床に大きな穴が空いている場所を見付けました。
その穴の下からは何やら、ギィ!ギギィ!と大量の不気味な声が聞こえてきます。
冒険者たちが下を覗き込むと、どうやら階下はちょうど魔物たちの巣になっているようでした。
 
「おうおう、ゴブリンにコボルト、オークにトロールにリザードマンまで。うじゃうじゃいやがるな」
 
ここから下まではかなりの高さがあるので魔物たちがここまで登ってくることはなさそうです。
ですがそれでも天井から顔を出す冒険者たちに向かって有らん限りの奇声で威嚇してくる魔物の群れは、ムシカにとってはやはり恐怖でした。
 
「でも見ろよ、ホラ向こう。あの奥の方には下り階段があるみたいだぜ」
 
「飛び降りてあそこまで行ってみたいところだが…… こいつら全部を相手にするとなると厄介だな」
 
※戦士と魔法使いの2人がそろっていれば、下の魔物の群れを蹴散らして階段まで辿り着くことができます。
 条件を満たさないパーティは、無謀な戦いは諦めて通路を先へと進むしかありません。
 
→戦士と魔法使いの2人がそろっているなら 20へ
→条件を満たさないので諦めて通路を先へ進むしかないなら 17へ

 

 

 

 

 

 

17

 
通路を進む途中、後ろでズドン!という大きな音がして石壁が来た道を塞いでしまいました。
仕方なくパーティは通路を先へと進みます。
ですがしばらくすると、ひんやり冷たいはずの地下の空気はすぐにものすごい熱気へと変わっていきました。
やがて聞こえてくる、ゴォーーッ!ゴォーーッ!という不気味な音。
それからしばらく通路を進んだ先で、ようやく熱気と音の正体が分かりました。
通路の途中に部屋があり、その部屋の床に空いた無数の穴からは猛烈な火柱が何本も噴き出していたのです。
部屋の向こう側に下り階段があるのが見えましたが、ここからはかなりの距離です。
安全に突破できる確証が無い限りは、とてもこんな運試しに命を賭ける気にはなれません。
 
※盗賊と魔法使いの2人がそろっていれば、火柱が噴き出す規則性を見抜き氷結魔法のバリアでトラップを無事突破し階段まで辿り着くことができます。
 条件を満たさないパーティは、このトラップの突破は諦めて通路を先へ進むしかありません。
 
→盗賊と魔法使いの2人がそろっているなら 23へ
→条件を満たさないので諦めて通路を先へ進むしかないなら 18へ

 

 

 

 

 

 

18

 
通路を進む途中、後ろでズドン!という大きな音がして石壁が来た道を塞いでしまいました。
仕方なくパーティは通路を先へと進みます。
やがて途中に小部屋があるのを見つけました。
部屋の中央には大きな石棺がひとつ。他には何もありません。
察するに古代王族の遺体安置所、いわゆる玄室のようでした。
 
「こういうパターンだと、この石棺の中が隠し階段になってたりするんだよな。一応調べてみるか」
 
「でもずいぶん大きな石の蓋だぜ。持ち上げて中を確かめるだけでも一苦労だな」
 
そういいながらも冒険者たちは石棺の蓋を躊躇なく開けようとしました。
ところがその途端、ムシカも冒険者たちも皆一様に頭を押さえてうずくまりだしたのです。
 
「キャァッ!頭が! 頭が割れそうっ!痛いっ!」
 
「ぐっ?!こりゃスピリットどもの仕業だ! 早く逃げなきゃ憑り殺されるぞ!」
 
※僧侶と戦士の2人がそろっていれば、一時的にスピリットの呪いを防ぎつつ重い石蓋を手早く開けて中に見付けた隠し階段を進むことができます。
 条件を満たさないパーティは、長時間の呪いに耐えきれず部屋を逃げ出すしかありません。
 
→僧侶と戦士の2人がそろっているなら 20へ
→条件を満たさないので部屋を逃げ出すしかないなら 16へ

 

 

 

 

 

 

19

 
とても突破できないと諦めたパーティは、慌てて広間から逃げ出しました。
スケルトンは追っては来ませんでしたが、これからどうしようと全員頭を抱えます。
 
「おいちょっと待て。ここの床、何か書いてあるぞ」
 
一息つくため立ち止まったその場の床に、ちょうど何か文字のような物が刻まれているのを誰かが見付けました。
来る時には全く気付かなかった物です。
ムシカも覗き込みましたが、見たことも無い文字でどこがどうやらさっぱり分かりません。
冒険者のひとりが、これは多分古代語の一種だろうと教えてくれました。
見ればその床には、四角く切れ目が入っています。
パーティはその床を詳しく調べてみることにしました。
 
※盗賊または研究家のどちらか1人がいれば、この床の仕掛けを解いて隠し階段を発見します。
 条件を満たすパーティのみ、該当する選択肢をお進み下さい。
 
→盗賊または研究家がいるなら 15へ
→条件を満たさないのでまた広間まで戻るしかないなら 12へ

 

 

 

 

 

 

20

 
階段を降りると、そこは床が一面石造りのレンガで敷き詰められたこれまでとはまるで違う場所でした。
壁には装飾が施された柱が並んでおり、さながら神殿のようです。
通路には延々と、不思議な青白い炎を揺らす蝋燭が置かれてもいました。
 
「雰囲気がガラッと変わったな。こりゃいよいよゴールが近いのかも知れないぜ」
 
冒険者の言葉に、ムシカも期待が高まります。
パーティは慎重に通路を先へ先へと進んで行きました。
そんな中、途中の通路の壁際に不気味な悪魔像が置かれてありました。
表面にはびっしりと、何やら古代語で文字が刻まれているようです。
 
※研究家がいる場合に限り、該当する選択肢へとお進み下さい。
 
→研究家がいるなら 21へ
→研究家がいなければ無視してこのまま進みます 22へ

 

 

 

 

 

 

21

 
「うわぁお♪これは何とメズラシイ!」
 
古代研究家のジンが、悪魔像に飛び付いてペタペタと触り始めました。
他の冒険者が止めとけと言っても、ジンは聞こうとしません。
 
「ほうほうなるほどこういう信仰もあったのですね~♪ いやはやこれは実に興味深い、ん~♪おや、この腕……動く、動きますよ!」
 
ゴリゴリゴリゴリ……
ジンは悪魔像の腕を上げたり下げたり始めました。
すると途端に天井のレンガがズドン!と落ち、その天井に空いた穴からはシュルシュルと大量の毒蛇が落ちてきたのです。
 
「キャアッ!!」
 
「おい貴様!なんてことしやがった!」
 
「あわあわ…… ど、どうしましょ~!」
 
懸命に毒蛇を追い払う冒険者たち。
ですがあと少しというところで、とうとうムシカが毒蛇に足を噛まれてしまったのです。
 
※僧侶がいれば、ムシカは治癒魔法で毒を取り除いて貰うことができます。
 条件を満たすパーティのみ、該当する選択肢へとお進み下さい。
 条件を満たさないパーティは、残念ですがここまでです。本を閉じてください。
 
→僧侶がいるなら 22へ

 

 

 

 

 

 

22

 
やがて通路は行き止まりとなりました。
そこはかなりの大広間でした。天井も高く広さも相当なものです。
ここまでと同様に青白い蝋燭も壁一面に置かれていたので、部屋全体が楽に見通せる明るさでした。
入って正面となる奥の壁際には、石造りの扉がひとつだけありました。
大広間のちょうど中ほどまでパーティが来た時、どこからともなくかすれたような声が響いてきました。
 
『……ツヨク、ネガイシ、モノヨ…… ヨクゾ、ココマデ、タドリツイタ……』
 
えっ?! えっ!?
ムシカはびっくりして冒険者たちの顔を見回しました。
彼らにもしっかり聞こえたようです。皆、確信を持ってムシカに強く頷き返しました。
 
『……ソナタニ、サイゴノ、シレンヲ、アタエル…… ミゴト、ノリコエ、ワレニ、ソノチカラヲ、シメシテミヨ……』
 
ふいに背後でズドン!と重い石壁が落ちる音。
 
「しまった!出口を塞がれた! 閉じ込められたんだ!」
 
そして目の前の重そうな石扉がひとりでにゆっくりと開き始めました。
と同時に、広間全体を揺らすほどの巨大な振動!
 
「見ろっ! 天井が!天井が段々下がって来てるぞ!!」
 
ムシカたちは慌てて石扉の中に逃げ込もうとしました。
しかしそこには目に見えない透明な壁があるようで、一歩も中へ入れないのです。
 
「ダメだ! こりゃきっとマジックウォールだ!」
 
見えない壁をドンドン叩きながら冒険者が叫びました。
この壁は許容を超える魔力を一気に注ぎ込まないと壊せないんだとその冒険者は叫んでいます。
その間にも、見る見る天井はムシカたちを押し潰さんと迫ってきます。
 
※僧侶と魔法使いの2人がそろっていれば、このマジックウォールを打ち破ることができます。
 条件を満たすパーティのみ、該当する選択肢へとお進み下さい。
 条件を満たさないパーティは、残念ですがここまでです。本を閉じてください。
 
→僧侶と魔法使いの2人がそろっているなら 27へ

 

 

 

 

 

 

23

 
階段を降りると、そこは床が一面石造りのレンガで敷き詰められたこれまでとはまるで違う場所でした。
かなり大きな広間で、壁には装飾が施された柱が並んでおり、さながら神殿のようです。
 
「雰囲気がガラッと変わったな。こりゃいよいよゴールが近いのかも知れないぜ」
 
冒険者の言葉に、ムシカも期待が高まります。
広間の向こうには、何やら巨大で荘厳な石扉があるのが見えます。
きっとあそこが目指す大魔導士の部屋に続く扉に違いありません。
パーティはこれまで以上に慎重な足取りで、その石扉へと近付いていきます。
床のレンガはよく見ると一様に平坦ではなく、所々が何やら出っ張っていました。
 
※研究家がいる場合に限り、該当する選択肢へとお進み下さい。
 
→研究家がいるなら 24へ
→研究家がいなければ何事もなく先へ進みます 25へ

 

 

 

 

 

 

24

 
先を行く冒険者がダンジョンに不慣れのムシカに忠告します。
 
「おっとお嬢ちゃん、そこの飛び出たレンガは踏むなよ。こういうのは大抵ダンジョンではトラップって相場が決まってんだよ」
 
ムシカがそれに返事しようとした瞬間、すぐ横で、えっ?!と驚く情けない声がしました。
 
「ア……アハハハ、そうだったんですか? いやぁ 僕知らなかったものだから……どうしまショこれ♪」
 
見るとムシカと並んで歩いていた研究家のジンが、自分の足元を申し訳なさそうに指差していました。
途端にバコッ!という音と共に一瞬で崩れ去るジンの足元のレンガ! 落とし穴です!
すぐ横にいたムシカは自分の身の危険も忘れて無我夢中で飛び付いていました。
 
「ダメーーーッ!!!」
 
※盗賊がいれば、間一髪の素早さで落ちる2人を掴んでくれるのでパーティは危機を回避します。
 条件を満たすパーティのみ、該当する選択肢をお進み下さい。
 
→盗賊がいるなら 25へ
→盗賊がいないので成す術がないなら 28へ

 

 

 

 

 

 

25

 
やがて通路は行き止まりとなりました。
そこはかなりの大広間でした。天井も高く広さも相当なものです。
ここまでと同様に青白い蝋燭も壁一面に置かれていたので、部屋全体が楽に見通せる明るさでした。
入って正面となる奥の壁際には、石造りの扉がひとつだけありました。
大広間のちょうど中ほどまでパーティが来た時、どこからともなくかすれたような声が響いてきました。
 
『……ツヨク、ネガイシ、モノヨ…… ヨクゾ、ココマデ、タドリツイタ……』
 
えっ?! えっ!?
ムシカはびっくりして冒険者たちの顔を見回しました。
彼らにもしっかり聞こえたようです。皆、確信を持ってムシカに強く頷き返しました。
 
『……ソナタニ、サイゴノ、シレンヲ、アタエル…… ミゴト、ノリコエ、ワレニ、ソノチカラヲ、シメシテミヨ……』
 
重そうな石扉がひとりでにゆっくりと開き始めました。
やがてその奥から、紫色に光り輝く石人形、巨大なゴーレムが姿を現わしたのです。
 
「あれは……アイツはおそらくマジックゴーレム。周囲の魔力を全て吸収するマジカライト鉱石で出来てるから、一切の魔法が使えなくなる強敵だぜ」
 
冒険者のひとりがムシカに説明してくれました。
そんな中、ふいに背後ではズドン!と重い物が落ちる音。
 
「しまった!出口を塞がれた! 閉じ込められたんだ!」
 
一方でズシン!ズシン!と、部屋を振るわせるほどの地響きを立てて、ゴーレムはじわじわと冒険者たちへと迫ってきました。
 
「さながら闘技場ってトコか! こうなりゃやるしかねぇみてぇだな!」
 
冒険者たちは手に武器を構え、敢然とゴーレムに立ち向かって行きました。
 
※僧侶、魔法使いはマジカライト鉱石の前ではほとんど戦力になりません。
 物理攻撃専門の戦士と盗賊の2人がそろっていなければパーティに勝ち目は無いでしょう。
 条件を満たすパーティのみ、該当する選択肢へとお進み下さい。
 条件を満たさないパーティは、残念ですがここまでです。本を閉じてください。
 
→戦士と盗賊の2人がそろっているなら 27へ

 

 

 

 

 

 

26

 
古代研究家のジンは嬉々として大扉の古代語を読み進めていきます。
 
「……『深き地の底より甦らんとする儚き魂の眠る安らぎの場所、邪な心の者決して足を踏み入れてはならぬ』だそうですよ。さてお嬢さん、この扉、本当に開けてみてもよろしいんでしょうかね?」
 
これまでと変わらぬ飄々とした口調で、ジンがムシカに尋ねました。
 
「もちろんよ! きっとここにミーシャの魂が眠っているんだわ! 反魂の望みを叶える秘術って、きっとここのことだったのよ!」
 
興奮した様子でムシカはジンを急かしました。
やれやれといった様子で首を振ったジンは、何やら大扉の仕掛けをいじり始めます。
 
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…… 
やがて、大扉はゆっくりと開き、その向こうへと通じる隙間が徐々に口を開きだしました。
 
「もうすぐよ…… もうすぐで、私のミーシャが……」
 
ヒュゥゥゥゥゥ…… どこからか段々と風が吹いてきました。
 
「おかしいな、いったいどこから……っていうかオイ!こりゃ風じゃないぞ! あの扉の中に俺たちが吸い込まれてるんだ!」
 
誰かがそう騒ぎ出した頃には、既に1人、また1人と大扉の隙間へと冒険者たちが吸い込まれ、そして闇の中へと消えていきました。
ムシカも大扉の縁へとしっかとしがみ付き、必死で叫びます。
 
「助けて!誰か助けて! お願いジンさん!扉を閉めて! 誰か早く閉めて早く!」
 
ムシカの叫びに答えてくれる冒険者は、もう誰もいません。
 
「みんな吸い込まれちゃったの…… くぅっ、私……も、もう、ダ……メ……」
 
誰かいないかと、ムシカは必死に顔を上げ大扉の外を見ました。
するとそこには、いるはずのない見知らぬ老婆が立っていたのです。
いえ、手を離す最後の最後に、ムシカは思い出しました。
アレは…… あのヒトは…… 私が財布を盗んだ…… おばあさん……
 
≪BAD・END≫

 

 

 

 

 

 

27

 
最後の試練を見事打ち破り、石扉の中へと入っていくムシカたち。
その奥は真っ暗で何も見えません。
どうしたものかと立ちすくんでいると、目の前にパッと光輝く別の入口が現れました。
 
『……ヨク、ココマデ、タドリツイタ…… ツヨク、ネガイシモノヨ…… ソノネガイ、ワレ、キキイレヨウ…… ……サァ、ハイッテ、クルガイイ……』
 
ムシカは冒険者たちと顔を見合わせました。
冒険者たちは皆一様に大きくムシカに向かって頷きます。
ムシカも感謝の気持ちを込めて強く頷き返しました。
そして、ムシカはひとり、その光の入口へと足を踏み入れていったのでした……
 
今度は逆に天井も床も、光で溢れる真っ白な部屋でした。
いえ、部屋と呼べる場所なのかどうかすらもムシカには分かりません。
もはや上も下も分からず、平衡感覚が狂い立ってるのもままならなくなってきたその時です。
 
……ズシン! ……ズシン!
遠くの方から、何か大きな物が近づいてくる足音が聞こえてきました。
やがて光だらけの世界の中で唯一黒い点のようなものが生まれ、それが長い時間をかけて大きな足音と共に段々とムシカの元へと近付いてきます。
ようやく見えてきたそれは、周りの白い光とは対極な漆黒の鱗に覆われた、巨大なドラゴンだったのです。
恐怖で血の気も引くムシカに向かって口を開いたドラゴンからは、先ほど外で聞いたあのかすれた声が漏れだしてきました。
 
『チエ、チカラ…… ソシテ、ウンニ、メグマレシ、モノヨ…… ヨクゾ、ココマデ、タドリツイタ……』
 
ムシカは恐る恐る尋ねました。
 
「本当に、あの、本当にあなたが、その、反魂の大魔導士、さん、ですか……?」
 
悠然とした動きでその首を縦に振る、ドラゴン。
 
「なら、あの、すみません…… お願いが、あって……、き、来ました!」
 
『……ヨイ、ワレハ、スベテ、シッテ、イル……』
 
ムシカの言葉を遮るように、ドラゴンの声が静かに続いていきます。
 
『ムラニ、モドルガ、ヨイ、ユウキアル、モノヨ…… オマエノ、ノゾミハ、スデニ、カナエテ、ヤッタ…… デハ、サラバダ……』
 
そこまで聞くと、ムシカは一瞬ふわっと体が浮いたかと思うとドシンと尻餅をついて床に倒れていました。
そこはもう、あの元の真っ暗な石扉の中の部屋でした。
目を上げると、ここまで連れて来てくれた冒険者たちが心配そうにを覗き込んでいます。
 
「よかった~! 戻って来なかったらどうしようかと思ったぜ!」
 
「おかえりっ! どうだったちゃんと会えたか大魔導士に!」
 
「大魔導士ってどんな奴よ! なぁなぁ俺らにも教えてくれよ~!」
 
心底ほっとした様子で嬉しそうに皆、口々にムシカの無事を喜びます。
ムシカは事の顛末を伝えると、改めてこの冒険の成功への感謝の気持ちを述べたのでした。
 
ダンジョンを無事抜け出し、冒険者たちとも別れ、ムシカは故郷の村へと急ぎました。
やがて村に着くと、待ってましたとばかりに村の人たちがムシカを笑顔で迎えました。
 
「ミーシャちゃんがね! 生き返ったんだよ!」
 
「棺桶の蓋がガタガタいうんでそおっと開けてみたら、可愛いお目々がパチパチってさぁ!」
 
「やったなムシカ! お前本当に大魔導士に会えたんだな!」
 
「ほら、早くミーシャのところに行っておあげよ!」
 
みんなに促され、教会へとやって来たムシカ。
牧師さんの部屋の戸を開けると、そこには椅子に座り、温めたコップのミルクをふうふうと飲む、懐かしい生きていたままのミーシャの姿があったのです。
 
「……本当だった……! 生き返った……! ミーシャぁ…… ミーシャぁっ!!」
 
ムシカはミルクが床にこぼれるのも構わず、ミーシャに抱きついて喜びました。
抱きつかれたミーシャは驚いたのか、急に大声で泣き叫び始めました。
最初ムシカはまた会えたのが嬉しくて泣いているのかと思いましたが、それにしては様子が変です。
自分を見るでもなく、ただただ虚空に見上げ泣き続けるばかりのミーシャに向かってムシカは懸命に呼びかけました。
ですが結局、何の反応も示さないのです。
見かねた牧師さんはムシカの肩に手を置くと、勤めて優しくこう語りかけました。
 
「生き返った時からね、ずっとこうなんだよ。こうして何を話すでもなく、ただただ毎日泣いてはミルクを飲むばかり。まるで、生まれたばかりの赤ん坊のようにね」
 
ムシカは深い絶望感に襲われました。
が、すぐに思い直しました。
赤ちゃんでもいい…… 私のこと忘れてたっていい……
こうして…… こうしてミーシャが無事に生き返って、私の前に戻って来てくれたんだもの……
よかった…… またもう一度、私はこの子と一緒に生きていける……
ありがとう…… 本当にありがとう、反魂の大魔導士さん……
 
≪HAPPY・END≫

 

 

 

 

 

 

28

 
その時です。ムシカを眩い光が包み込みました。
とても目を開けていられず、ムシカは目をつぶり、そのまま意識が遠くなっていきました。
 
「あ、あれ…… ここは……」
 
ムシカが目を開けると、そこは不思議な空間でした。
四方は壁に囲まれた普通の部屋なのに、天井だけがすっぽりと無いのです。
ムシカの頭の上には、抜けるような青空が広がっていたのです。
 
「え……ここ…… ダンジョンの中じゃ、ないの?」
 
「えぇ、まだここはダンジョンの中ですよ。お嬢さん」
 
振り向くと、そこには部屋の中央のテーブルに座って、お茶を飲みつつゆったりとくつろいでいるジンの姿がありました。
 
「ジンさん! 良かった無事だったのね!」
 
「うんうん、何より一番に僕のことを心配してくれるなんて、やはり僕の目に狂いはありませんでしたねぇ」
 
「え、ジンさん、何を言って……」
 
「大丈夫。もう大丈夫ですよお嬢さん。全てはつつがなく終わりましたからどうぞご心配なく。ささ、まずはあなたもどうぞそこへ座って。お茶でもいかがですか」
 
何が何だか分からないムシカでしたが、とりあえず言われるままにテーブルに腰を降ろしました。
 
「僕らと一緒に来たもうひとりのあの人も、ちゃんとダンジョンの外へ送り返しときましたからどうぞご心配なく。今頃は何が起きたか分からずにポカンとしてるでしょうけどね」
 
ジンはそう言うと、ムシカの方へ金貨を10枚、すっと差し出しました。
 
「あの人へあなたが払った金貨です。僕がこっそり取り戻しておきました。構わないでしょう。だってあの人は結局、今回の冒険では何の役にも立たなかったんですからね」
 
またジンは、懐から新たな金貨を10枚、すっと差し出します。
 
「そしてこれは僕が頂いた分。これもそっくりそのままお返ししますよ」
 
「えっ、でもそれじゃ私が払ったお金、全部戻ってきちゃう……」
 
「いえいえ、全部というならもう10枚、これも忘れちゃいけませんよね」
 
ジンはまたもや新たな金貨10枚をムシカの方に差し出しました。
 
「そんな?! これ以上あなたにお金を貰う理由なんてないわ!」
 
「おやおや、まァだお気付きにならない? ウフフ、それじゃ、これならどうでしょうかね」
 
ジンはそう言うと、左手で自分の顔をつるんとなでました。
するとそこには、全く違う別の顔が現れたのです。
 
「ああっ!あなたは…… あの時のおばあさん?!」
 
それはムシカがここへ来る途中に落した財布を探してあげた、あのおばあさんの顔だったのです。
 
「ウフフ♪ そういうことです。あの時のあなたの親切、僕は深~く、感動いたしましたよ♪」
 
もうすっかりムシカは訳が分からないといった様子で、手振りはあたふた、口はパクパク、目はキョロキョロ。
そんなムシカの様子を愉快そうに眺めていたジンは、やがて堪えきれずにプッと噴き出して大笑いを始めてしまいました。
 
「アハハハッハハハ! ……ハァハァ、い、いや、どうもごめんなさい。も、もう、からかうのも終わりにしてあげないと流石に可哀想ですよね。
 回りくどいのもいい加減止めにしましょう。
 改めて初めまして。この僕が、あなたがお探しの反魂の大魔導士と呼ばれる者ですよ」
 
ムシカの手が、口が、そして目が、ぴたりと止まりました。
信じられないといった様子で口に手を当て、目を真ん丸に見張るムシカ。
 
「これはね、テストだったんですよ。
 あなたが死者の国から魂を呼び戻すに相応しい、正しく清らかな心の持ち主だったかどうかのね」
 
そう言ってジンは、またお茶をひとくち飲みました。
 
「あなたが今日ここへ来ることは、ずっと前から僕の未来予知の力で分かっていました。そこで僕とギャンブル友達の地獄のサタンは、またいつものギャンブル勝負をすることにしたのです。今度のここに来る人間が、果たして心の清らかな者かどうかという、ね。
 いくら僕が反魂の秘術を使えるからって、流石に死者の魂を自由にどうこうするのにはちゃんとサタンとの事前交渉が必要なんですよ」
 
ようやく落ち着いてきたといった様子で、ムシカも黙って目の前のお茶をひとくち飲みました。
ジンは満足げに頷くと話を続けます。
 
「もし、それが邪な心の持ち主だったなら、その者の魂は生き返らせたい者との2人分まとめて地獄送り。いわゆるサタンの総取りですね。
 一方でまぁまぁ普通の心で、かつ私の自慢のこのダンジョンを無事突破できるほどの強運の持ち主だったなら、死者の魂はまっさらに記憶を消した状態で元の体に戻してさしあげる。
 そして万が一の大穴、どのテストでも完全最高パーフェクトな対応ができた、あなたのようなご立派な心の持ち主だったのならば……」
 
ジンは、自分の指をパチンと鳴らしました。
ポンッ!
そこには綺麗な服で着飾った、小さな可愛い女の子がちょこんと現れたのです。
 
「……あれ、お姉ちゃん…… ここどこ?」
 
「!!! ミーシャ!!!」
 
「……このように、生前の記憶もそっくりそのままで生き返らせてあげても良いという、大サービスが待っていたという訳です♪」
 
ムシカはすぐに夢にまで見た愛しい妹へと飛びつきました。
 
「ミーシャ! あぁ良かった…… ミーシャ!ミーシャぁ! あぁっぁぁぁ……」
 
「ちょっと、お姉ちゃん痛いよぅ。どうしたのお姉ちゃんってば急に泣いちゃって」
 
「うんうん、これぞ美しき姉妹愛。あぁこんな素敵な光景は何十年ぶりに見たことでしょう。やっぱりギャンブルの報酬といったらお金より何よりこの感動、ですよねぇ。ウルウル」
 
泣きに泣いて喜ぶ姉と、それにきょとんとするばかりの妹。
そんな平凡でささやかな幸せに包まれた2人を、ハンカチで目頭を押さえつつ祝福する心優しきギャンブル狂の大魔導士が生んだ、小さな奇跡の物語、でございました。
 
≪TRUE・END♪≫

 

 

 

 

 

【あとがきのようなもの】
ども、作者です。お読みくださりありがとうございます。
汗臭い男の世界もいい加減飽きたので(笑)今度は心機一転、可愛らしい女の子が出てくるようなほのぼの系ゲームブックが作ってみたくなりました。
選べるパーティ編成ですが、金貨30枚、20枚の時共にどちらもそれぞれで計10通りずつとなっております。
1発でクリアできましたか? ダメでもちょっとずつ編成を微調整しつつ、ぜひともムシカを無事に最深部まで送り届けてあげてくださいね。
ということでそれではまた、次回作でお会いしましょう。